2004-1-01:Pastoral資料<パンってどんな人?>

Edward Burne-Jones(1872-74) "パンとプシュケ(Pan and Psyche)" Pan.jpg

女性の頭をなでている、右側の毛深い(というよりも半分山羊なので毛むくじゃらな)男が「パン」です。

ギリシャ神話の神様で、父親は商売と泥棒の神ヘルメス(ちなみにブランドの「エルメス 」の語源)、母親は妖精(名前忘れた)。

山羊の足に2本の角という妙な姿で、陽気でけたたましく笑うパンは、その奇怪さゆえに母親に見捨てられたのですが、父親の手によってオリンポスの神々に紹介され、受け入れられたのでした。特に酒と宴の神ディオニュソス(ローマではバッカス)は彼がとてもお気に入りだったとのこと。

彼の神話における役割は「牧畜の神」。その由来はいわゆる「パニック」(Panic)という言葉と深く関係しています。どういうことかというと、この神は陽気でいたずら者で歌や踊りに優れるというポジティブな特質を持っている一方、酷く気まぐれで乱暴者という一面もあり、特に昼寝を邪魔されるといたくご機嫌が悪くなって羊を脅すので、羊飼いにとってはご機嫌を損ねてはならない神である、ということだったようです。(このときに羊が恐れて逃げ惑うさまが「パニック」の語源なのだそうで。)

ただ、この神様が嫌われていたかというとそうではなくて、後代にはどちらかというと陽気で豪放磊落な性格のほうが強調され、のんびりと楽しく生きる羊飼い気質を代表する神として、よく文学や絵画の題材となっていたようです。

"Pastoral"にはこの神さまがあちこちに出てきます。今日は紹介しませんが、ギリシア神話にはこの曲を歌うヒントが多く含まれているので、図書館などでかるーく読んでおくとよいかもしれません。

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