2004-2-01:第1ステージ資料--"Come, Shepherds...."周辺情報

■Thomas Tomkins(1572-1656)

トムキンズは「テューダー王朝」(=英国ばら戦争の終結〜エリザベス1世までの時代)から次の「スチュワート王朝」の過渡期に生きた英国ルネサンスの最後期の作曲家であり、タリスやバードの次の世代にあたる。(この二人はエリザベス女王の時代に活躍したが、トムキンズはその後のジェームズ1世の時代にほとんどの作品を書いた。)

彼はバードの弟子であったと言われており、イングランドの南西部にある都市ウースターの大聖堂でオルガニスト兼コーラスマスターとして活動する傍ら、ロンドンの王立礼拝堂の合唱団員としても活躍していた。(のちに、オルガニストも兼務している。)

彼の曲の中でおそらく最も歌われているのは団長が最初に選曲に推した"When Davie Heard"(ダヴィデがアブサロムの死を聞いたとき)であろうが、最近Naxosで彼の曲だけを収めたCDが発売されたこともあり、今後流行するかもしれない。

余談だが、トムキンズは"The Fauns and Satyrs tripping"なる曲も作曲しているらしい。ますます、"Pastoral"とつながりの深い作曲家・・・かも?



■Nathaniel Giles(1558?-1633)

ナサニエル・ガイルズはトムキンズと同世代のイギリスの作曲家・オルガニストである。王立礼拝堂におけるトムキンズの同僚であるが、トムキンズがオルガニストに就任するより10年前にウースター大聖堂でオルガニストを務めていたらしい。おそらくはトムキンズにとって「尊敬する先輩」だったのではあるまいか?別の曲を捧げられているオーランド・ギボンズも含め、音楽家のサロンのようなものが当時成立していたことをうかがわせる。(そして、当時のイギリスの音楽が常に「王立礼拝堂」=コーラスとオルガンによる音楽を中心としていたこともよくわかる。)
なお、ガイルズもかつてバードがそうであったように、ラテン語の聖歌と国教会向けのアンセムを両方とも書いているらしいが、残念ながらあまり見かけることはない。

※どうでもいいが、「ウースター」は「ウスターソース」の語源らしい。。。

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参考文献:
[1]"Hail, gladdening Light"(コレギウムレコーズ)解説書
[2]AMARCORDES(スイスの音楽団体?)によるトムキンズ情報
[3]"Here of a Sunday Morning"(海外の古楽マニアサイト)